OriolusとSympathie Worksのペアリングガイド第一回:Traillii JP
日本のOriolusイヤホンユーザーがリケーブル先として密かに期待を寄せているという話しをきっかけに、Sympathie WorksがOriolusイヤホンと特別相性が良かった作品を、音質のレビューと共に紹介させていただく企画となります。こちらの企画に際し、Oriolus(オリオラスジャパン)様からPR用に一部製品を借用しております。
日本のOriolusイヤホンユーザーがリケーブル先として密かに期待を寄せているという話しをきっかけに、Sympathie WorksがOriolusイヤホンと特別相性が良かった作品を、音質のレビューと共に紹介させていただく企画となります。こちらの企画に際し、Oriolus(オリオラスジャパン)様からPR用に一部製品を借用しております。
Oriolusといえば、Reborn ltdという、「音場」というものを初めて体感させてくれた素晴らしいイヤホンを所有していますし、最近では4DDというとても挑戦的なドライバ構成のMonachaaの斬新なサウンドに驚きを覚えたことが記憶に新しいです。
第一回目は、オーディオファイル垂涎の的として知られるハイエンドイヤホン、Traillii JPのレビューです。付属の標準ケーブル、そしてSympathie Worksのケーブルと合わせたインプレッションになります。4EST+8BAというドライバ構成の、コスト度外視で音質にこだわってつくられたというこのイヤホン。全帯域にわたりバランスを絶妙に保ちつつ超高解像サウンド、それでいて自然な表現力とのこと。
まずは、PW Audio製の標準ケーブルにて。市販のPW Audio製ケーブルのいくつかは手持ちのイヤホンに合わせて聴かせていただいたことがあります。まさにハイエンド銅線らしい独特の味付けをもって音楽が耳に流れ込んできたのが印象的でした。Traillii JPは全帯域バランス型のイヤホンであるという認識と合わせると、ややウォームめの、そして迫力のある、まるでスピーカーを思わせる素晴らしい音が聴こえるだろうと予想しました。
結果はその通り。それどころか予想を超える、迫力もあるけれど自然さも感じる、まさに『音楽』が聴こえてきました。とても心に響く音です。そして、予想プラスαの音が聴こえてきたことにより、このイヤホンにはとてつもないポテンシャルがあることが感じられました。Sympathie Worksのフラッグシップラインのケーブルと合わせたらいったいどんな顔を見せてくれるのか、期待が高まります。
まずはSW29 Zeus。金メッキ銀線、パラジウムメッキ銀線、銅線からなるケーブルです。全域にわたって解像度が高く、音に芯があって小気味よく、それでいて音楽的なまとまりを感じさせてくれる大人気のケーブルです。Traillii JPは解像度も高いのに自然なサウンドというのをコンセプトに作られたということで、似た特性があると感じ、真っ先に思いつきました。合わせてみると、低域はタイトに引き締まり、リアルなボーカルや音の煌めきが際立ち、耳を澄ませば背後の楽器隊も弦のつややかさや張りを感じさせる音を響かせています。付属ケーブルとは全く異なる良さ、それでいて確かにTraillii JPでしか鳴らせないほどの緻密さと音楽性を保っていて、いきなり音の変化を楽しむ最適解に辿り着いてしまったと感じました。
次に試したのは、SW32 Graffias。金メッキ銀線、パラジウムメッキ銀線、グラフェン線からなるケーブルです。ダントツの解像度を誇る、そしてグラフェン独特の音の粒感も感じられるフラグシップケーブルです。低域はSW29同様にタイトになりますが、さらにサブベースが響き渡って気持ち良いです。また、音のキレ、明瞭さ、のびのびとした高音の響きが印象的です。イヤホンが描く音楽的なふくよかな音、例えばピアノやヴァイオリンの音に細い確かな輪郭が生まれ、心地よく程よい刺激を感じます。見たかったところが見えて程よい刺激を感じる…SW29が超自然とすれば、こちらは一流の写実系の画家が描いたアートといったところでしょうか。こちらも好みの人がたくさんいそうな素晴らしい組み合わせです。
そうなると、Sympathie Works最新のフラグシップケーブルSW33 Albireoも試したくなります。こちらは銀・金合金線と銅線で構成されるケーブルです。心を躍らせながら、Traillii JPに合わせて聴いてみました。その途端、私のために作られた小さな宇宙(とはいっても宇宙なので広い)に放り込まれたような浮遊感を感じました。低域のアタック感はタイトで質感は異なりますが、付属ケーブルと遜色ないくらいに迫力があります。その支えの上に、広大な音場、自由な空気感、自然なのにしっかり芯のある美しい中高音が揺蕩っています。
Traillii JPのもつ究極のフラットなバランスをやや崩しながらも、これこそが本当のフラットだといわんばかりの説得力をもって、全てがあるべき質感および強調感とともに存在する世界。生々しいボーカル、自然の中に揺蕩う楽器も耳を澄ませばどこまでも追えそうな解像度、弦の振動さえ目に見えそうな空気の震え、煌めき弾けるピアノの硬質な音。現実よりリアルと思わせる感動がそこにあります。ポテンシャルのどこまでも高い珠玉のイヤホンと、それを限りなく引き出す実力を兼ね備えたケーブルが偶然出会って描かれた宇宙のマリアージュ。
Sympathie Worksの他のケーブルも試したのですが、Traillii JPという非常にポテンシャルの高いイヤホンだけに、上記三つのフラッグシップラインのケーブルとの相性が群を抜いて素晴らしかったです。中でも、Traillii JPとSW33 Albireoの組み合わせは、完成された一つの世界観をつくり上げています。付属ケーブルとは全く異なるタイプの良さなので使い分けも容易ですし、ぜひ多くの人に聴いてみてもらいたいです。
Traillii JP、リケーブルすることによって変幻自在な、怖いほどのポテンシャルをもった素晴らしいイヤホンでした。じっくり試す機会を与えてくださったOriolus様に感謝します。