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OriolusとSympathie Worksのペアリングガイド第四回: 
Mellianus JP



第四回目は、Mellianus JPのレビューです。Mellianus JPは片側に10BAを搭載し、初代Mellianusに比べてよりフラットなサウンド傾向を目指して再チューニングしたハイエンドモデルで、圧倒的な情報量と高解像力を誇るイヤホンです。

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PW audio製の付属ケーブル、SilverLiar(銀線)では、Mellianus JPのフラットなチューニングを活かした組み合わせを味わえます。タイトでありながら量感のある低域、やや広めの音場、細かいディテールを描いた中高域、やや前方に位置するボーカル。各帯域のバランスがとても良い印象です。

Sympathie Worksのケーブルと組み合わせると、どのような変化が起きるのでしょうか?特に印象的だった三つの組み合わせについて紹介します。

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一つ目は、SW33 Albireo。銀と金の合金線と銅線で構成されるハイブリッドケーブルです。これをMellianus JPに合わせると、低域の沈み込みや響きが増し、音場はかなり広くなり、中高域には煌びやかさと伸びやかさが加わります。フラットな傾向から一転してややリスニング寄りになった印象ですが、音楽的でありながらも耳を澄ませば一つ一つの楽器の旋律を追えるほど解像度が高いので、非常にリアリティがあります。Mellianus JPの持つ高解像度という側面と、Albireoの広めの音場がほどよく引き立てあい、この組み合わせでしか聴けない音楽を奏でてくれます。

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二つ目は、SW32 Graffias。金メッキ銀線、パラジウムメッキ銀線、グラフェンのトライブリッドです。高い解像力とフラットな傾向が特徴のこのケーブルには、Mellianus JPの個性と共通するものがあります。共通する個性は、お互いを引き立てあうのか、それとも反発するのか?結果は、素晴らしいものでした。アタック感のある低音、これ以上はないほどの明瞭な一音一音、キラキラした高音と程よい残響。何もかも聴こえる、それが音楽として心に染み入る。刺激的だけれど刺さらない。ここまで何もかもが聴こえてよいのかと思うほど、鮮やかで明瞭な世界が現れたのです。ただ、細部まで全てが聴こえるおかげで、録音状態が悪いものは粗まで見えてしまいます。音源さえ選べば、これ以上の組み合わせはないのではないかと思います。

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最後に、SW31 Coalsack。グラフェン線と銅線のハイブリッドケーブルです。SW31は、Mellianus JPのもう一つの顔を見せてくれます。パンチの利いた低域と、やや前に迫るボーカル。背後で音の粒がはじけるように響く弦楽器。沈み込むサブベース、キレのよいギターのカッティング。特にロックにはぴったりの没入感のある世界が楽しめます。標準ケーブルと合わせたときのフラットな傾向とは随分と異なりますが、これもMellianus JPの高いポテンシャルがあってこそ実現できたサウンドなのでしょう。ロックだけでなく、例えばクラッシックなどでも雄大で迫力のある完成度の高いサウンドを楽しむことができます。

高い解像力と全帯域にわたるコヒーレンスを誇るMellianus JP。基本性能の高さゆえに、リケーブルによってそのバランスを変えつつ様々な表情を楽しめる、想像以上に味わい深いイヤホンでした。